GOLD SOUCER

 

 

さて闘技場

「シドがほら、マテリア貸してくれたんだ」
あとでちゃんと返せよ、って言われたけど、どうしようかな。

「俺のも使うといい。俺の経験だと、こうだな。リボンを忘れるな。そしてここには、これ」

クラウドの金髪がユフィの頬を撫ぜた、ちょっとどきっとした。

「状況にもよるけれど、早い段階でマイティーガードを使うのがいい。 【てきのわざ】を活用するんだ。マジックハンマーでMP回復、モンスターのワザも封じることができる。それに【まほうマテリア】がこわれてもHPだって回復できる」

「なんかクラウド、目が笑ってる。楽しそうだね」
「ここはバトルを楽しんでもいいところなんだ。もし途中で負けてもそれはときの運だし、いのちまで取らない」

不倶戴天にきらめくマスタークラスのマテリアを見ていると、自然と口元が緩んでくる。このままトンズラしよっかな…
へっへん!ユフィさまの強さを世界中にとどろかせてからだよ、

そ・れ・か・ら!

「わかった、目指すは…えーっと 64000BP!」

ふっと暗い陰を作ったクラウドが溜息をついた。
「ユフィ、【Wしょうかん】は限定1個で、前にもう手に入れた。 たしかナナキが記念にって持って帰ったぞ」

それを聞いて、ウォーリアバングルを取り落としそうになった。

「!!じゃあ、【スピード】と【せんせいこうげき】と、それから…【てきよせ】それだけ?」
「あとはワンダースクエアで、GPをためて【ギルアップ】と【けいけんちアップ】だな」

そうじゃなくって、もっとど派手なやつだよ!!

「やっぱ、レースに出なきゃ駄目なんだ、とほ・・・決めた!チョコボを育てるよ。ね、クラウド、S級で勝てるチョコボを育てるよ。お願い、手伝ってくれるよね」

海チョコボになれば、マテリアの洞窟にだって行けるしさ。あれっ、クラウドが笑った。アタシ、初めて見たかもしれない。なんでかな、胸がキュンとなった。

「…ああ、いいよ」

ユフィにあんな気の長いことができるものか、育成は苦労の連続なんだ。なにせ洞窟のマテリアはひとつも手をつけていないんだ、海チョコボはあの人でも生産していないんだぞ。
…オメガと神竜に勝ったほどの人でも。
内蔵電池が2回もなくなるほどやりこむ人なのに、海チョコボには至っていないんだ。よかったな、銀盤に移植になって。(あ、アリガト)ユフィにそれができたら俺は……

「やったーー!じゃあ、せっかく来たから、バトルしてくるね」

クラウド、また笑った!嬉しくなっちゃう

 

遊び疲れた。

バトルの後もワンダースクエアでかなり遊んだから。その上よせばいいのに、シューティングコースターに挑戦したら2人とも
「うっ」っとなってしまった。でも、おかげで【方天画戟】をもらってきた。「おみやげだな」
2人とも青白い顔でにんまりした。

 

 

「これからレースに出られっかなあ」
本気で言ってるのだろうか、もうへろへろだ。
「もう遅いから、また明日にすれば」
「明日?」
「うん、ゴーストホテルで一泊して、明日レースに出ればいい」
「そっか、じゃ、一休みだね」

たのむから休ませてくれ……

 

 

    とんとん
…えっ?
    あ、あのさあ
…なんだ
    なんだって、何?
…いや、何でもない。で、なに?
ちょ、ちょっとアタシに付き合ってくれよ。マジカルナイトなんだって、今夜。
アタシ乗ってみたいのがあって、
…そう
    来てよ、一緒に来て。

(ゴンドラかな、ユフィは…そうか、知らない、か。)

 

「うわーーーきれーーー、見てよ!」

あの日と同じ、花火が輝くゴールドソーサー

思い出が詰まりすぎて、胸が痛い。こんな夢のようなシーン、エアリスが命をかけて守ったんだ。なんで一人で逝ってしまったんだ。

「クラウドさあ、下見てないでホラ、気分悪くなるよ。や、泣いてんの?」
「夢みたいだから、今までのことは全部…」

思い出していたんだ、クラウドは窓の外に向かってつぶやいた。

ふと肩に温かみを感じて顔を上げた。いつもはくるくる回って、悪戯ばかり仕掛けてくる、コドモっぽいどんぐり目玉だけど。このときは、海の底に眠る黒い真珠に見えた。みつめられて、すいこまれて、自分から少し唇を開いてしまった。
「クラウドさあ、」
ちゅっ!
「…………」
「あ、あは、なんかさ、そういうフンイキかなって思ったワケよ」
小首をかしげるクラウドの、まつ毛が濡れていた。
「…………」
「な、なんとか言ってよ」
「……なんとか」
「う〜〜〜」
ちょうどゴンドラが到着してドアが開いた。
先に下りたのはクラウド、続くユフィに手を差し出した。

「あ、ありがと、」
これってレディの扱いだよ。
「つきあってくれてアリガトな」
「…………」
2秒の沈黙の後、にか〜っと笑ったユフィが、だーーーっと走っていった。
クラウドも走ろうとして止めた。真剣に受けとめるほど、悲しい思いをするなんて、もう…
エアリスがみていたら、きっと、大笑いされる、だろうな…

 

 

ひーーーっ、はずかしーー。そんなつもりなかったのにーー、まだ胸がドキドキしてる、不整脈だよーー、β遮断薬、…あ、あった。
けど、あんなぼーーっとしてるのに、
なんでエアリスもティファも取り合うほど気に入ったんだろう?確かにバトルは強いけど、アタシに言わせりゃあんなの、魔晄とマテリアのおかげだよ。忍術とか、武道とか、そーゆーもんで努力してるこのユフィさまとかティファのほうが実力上だと思うんだけど…。今度ひとりで北コレルに来ようかな、でもってティファに聞いてみよ。

 

 

 

 

「ほぉー、みやげだと?」
しげしげと方天画戟を見て感心すると、
「これぁ、アレだろうが。シューティングコースターの景品じゃねぇか?」
「オジさん、なんでもよく知ってるね」
「…………」
「艇長は前からこれ、欲しがってたのよ、ね」

ミトンをつけたシエラが声をかけた。甘い香りのクッキーがつやつや並んだトレイをレンジから出したところだ。

「ふうん、じゃ、これ、もらってくれるんだ」
「あったり前よ!これを使いこなせるヤツぁ、このオレ様しかいねぇって。 ありがとうよ、ユフィ。ま、ゆっくりして行けや」

槍を担いで行ってしまった。

ラッキー!マテリア返せって言われなかったよ。ほほほ、このまましらんぷりしようかな。うん、しばらくはユフィさまが預かっておこう。マスター寸前だし、増やして新しい方を返して……。

「ふふ、うれしいのよ。照れてるわ」
よかった、笑われっかとおもったから。

 

 

「おい、クラウド。ちょっとつきあえ」
風に吹かれてぼんやりしているクラウドが顔をあげた。

村から少し行けば、今でも多少はモンスターが出る。ニブルウルフを何匹か退治した。久しぶりに槍を担いで、決まっているシド。

ルチルの実を沢山手に入れてクラウドに渡した。
「ほれ、みやげの礼だ、チョコボに食わせてやれ」
「…ユフィがよろこぶ」
「ユフィが喜んだら、お前も嬉しかろう?」
「?別に…」
相変わらず暗いヤツだ。再起不能か?なんのまだ若いんだ血の涙流して、立ち直れ!