ユフィの日記

 

この棚で最後か、なんだガラクタだらけだ。ホントにこんなものまでもっていく気かな?捨ててしまおうか、知らん振りして。やめておこう、あとでがーがー文句言うのに決まってる。うるさいしな。どうせ、ちゃんと荷ほどきせずにほったらかすんだろうに。

それにしても荷物が増えたものだ、随分ながいことロケット村にいたからな。

ごちゃごちゃ……

無造作に箱に投げ込んだいろいろなものの中にあった、一冊の厚い表紙のついた本が目にとまった。

あいつの荷物に本だなんて、

何気なく手にとってぱらぱらとながめると、それは本ではなかった。

 ――ティファがハイウィンドに乗ってしまった。クラウド、思いっきり振られちゃった。相手が相手だけにナナキと仰天!ま、クラウドがぼーっとしてるから。仕方ないよねってナナキも言ってた。――

 
「これって、……?」
蘇る苦しい記憶、呼吸が荒くなってきた。
それにしてもあいつめ、何もわざわざ……

「あーあ、行っちゃった」
「ねぇー行っちゃったよーー」
「クラウド、ティファいっちゃったよーーー」
「ティファに振られたんだよーーー」
「いいのーー?」

そんなはっきりと言わないでくれ。

「しかたないんだ……」
2人?は顔を見合わせた。
「ねぇクラウド、これからどうするの?」
「……そんなこと、」
「そうだよね、アタシだって何にも考えられないな。
 乗り物はカンベンだし」
「オイラは一度コスモキャニオンに戻るつもりだけど、
 それから何をすればいいのか、わかんないや」
「ま、とにかく、ハイウィンドが帰ってきてから考えようっと」

 

――シエラさんの指輪にマテリアがついてた。けど、さすがにあれは「ちょうだい」って言えないな。とっても綺麗だったからよく見せてもらった。――

そんな話してたな、丸くて光ってたらなんでもマテリアに見えるのか?昨日なんかシエラさんの作ったクッキーにマテリアがって。見ればあれ、ドレンチェリーだった。

「シエラさんて、シドのお嫁さんだよね?」
左手の薬指には、淡いグリーンの石のついたプラチナの指輪。興味深々のお年頃、いえ、彼女にはこのテの石がみんなマテリアにみえるのです。
「これはお守りよ。艇長のお母さんが昔に持たせてくれたんだって」
「でもどうしてシエラさんが?」
「ついこの前、艇長からもらったばかり。同じのがもうひとつ、それは艇長が持っているわ。」
「じゃあそれって、ペアのリングじゃん!」
「そうね、」
「やっぱり、結婚指輪だよ、それ」
「ふふ、どうかしらねぇ」

「って、言ってたんだ」
「ふうん、オイラにはよくわからないや。オトナの世界は不思議なんだよって谷のオトナたちもいつか話してたよ」
「わかんないね、オトナたちって」
「でもさ、ぜったいシドのお嫁さんだよ。だーってシドはあんなにシエラさんに優しいもん」
「びっくりしたよね〜〜もう!あのシドがさあ…あれって愛妻家っていうんだ、知ってる、ナナキ?」
「そうそう、じっちゃんがいってたよ。でもさ、すごく優しいだんなさんて本当は奥さんのことが怖いんだって。 何て言ったっけ…そう、恐妻家」
「なにそれ?」
「なんだろうね、奥さんが怖いんだって。」
「わかんないよ〜」
「じゃあ聞いてみようよ、ヴィンにでも」

コドモは知らなくてもいいこと、たくさんあるんだ。

 

――チョコボとは気が合うのかな、それともこの私には才能あるのかな。 えっへ、 村一番のヒマ人に手伝わそ ―

「ちくしょう……やっぱりそんなことだと思ったらその通りだ」

 

「見てよ、クラウド。大丈夫、これなら気分悪くなんないよ」
村でぶらぶらするのにすっかり飽きたユフィが誰に預かったのかチョコボを連れている。賑やかというか、やかましい。無視してもよかったのだが面倒くさそうに2羽のチョコボをながめた。
「ああ、前にレースで乗ったことがある」
確かに気分も悪くならない、乗り心地も「良い」に属することも知っている。

どこから連れてきたんだ、

「このこ、大人しいし、アタシによくなついてるんだよ」

だから何なんだ?
「ね、行こうよ」

ロケットポート周辺を走り回る2羽のチョコボ。乗り手はユフィ、そして渋々ついて行くクラウド

「気持ちいいよ。こうやって走ればさ悲しいことも忘れちゃう……あれ?……クラウド、」

まだ立ち直らないか、しょうがないかな

 

どこまで続くんだろう、読み始めたら気になる。こうなったら読んでやる、ことと次第によってはこの先の傾向と対策に役立つかもしれないし。

――ずっと行ってみたかったんだ、でも乗り物はパスだし。だけどマテリアがいっぱいある所って、あそこぐらいしか思いつかないもん。仕方ないからクラウドも誘ってやるとしよう。ヒマそうだし寂しそうだし。――

寂しそう?
なんでお前に同情されないといけないんだ?余計なお世話だ、それにあそこは思い出が多すぎるんだ。コドモのお前になんかわかってたまるか!なのになんでOKしたんだろう。

 

あのさあ、このこ、山チョコボなんだよ。でさあ、明日でいいから行こうよ、ゴールドソーサー。ここからだと山チョコボで行けるはずだから

「行ってどうするんだ」
「行きたいの、行きたくないの?」
「……別に」
「一緒に行こうよ、アタシさあ、まだ行ったことないんだ、プレーヤーが後回しにするから」
「何のことだ?」
「ヴィンでも行ったことあるんだよ」

「……思い出すから、」
「どっちを、エアリス?ティファ?」
こうもはっきり聞かれるとさっぱりする。
「……どっちだっていいだろ」
「けど、ここでくさってたって思い出すなら一緒ジャン。それにこの山チョコボでまだ山越えしたこと、ないし。気分いいと思うんだ、ずわって山を越すと」
「……やれやれ」

「ねっ!じゃあ明日ね。」

――ゴールドソーサーの入り口んとこにはギルとGPの交換してくれるおじさんがたまーーに出るんだって。
シドもバレットも、もうギルはカス同然だからってアタシにくれたんだ。本当はマテリアもらいたいんだけど、後生大事に取っててくれないから。
しょうがないからゴールドソーサーに行ってギル交換おじさんにGPにしてもらってさ、闘技場とかに行こうと思ったの。あすこの景品にマテリア……あったし攻略本に出てたんだ、
【てきよせ】【せんせいこうげき】【スピード】【Wしょうかん】【ファイナルアタック】
ほかにもワンダースクエアにはね、
【けいけんちアップ】【ギルアップ】でしょ、
もっといいのはチョコボレースの賞品で
【カウンター】【まほうカウンター】【てきよけ】【ふいうち】いっぱいあるからサ。
それにね、チョコボを育てて、鍛えて、海チョコボを生んでもらおうと思ってんの!
まだ行ってないマテリアの洞窟があって、すんごいマテリアがあるんだよ、きっと。明日はゴールドソーサだ!!

何が『明日は〜』だ、道々ぶつくさ言ってると思えば、そんなことを……

 

「さっきから何ひとりでブツブツ言ってるんだ?」
「へ?ブツブツ?クラウドの真似だよ!」

 

俺はぶつぶつなんて、言ってない。そうそう、急に走りだしたり、本当にチョコボと気が合っていたのかどうか、怪しいもんだ。

「いいかげんにしないと振り落とされるぞ」
「あはは、平気平気」

 

金髪をぽりぽり掻いて、クラウドはまた日記の続きに目を落とした。

 

 

――びっくりするほどの眺め!!これ全部遊んだらどれぐらいかかるかなぁ、もおのすごすぎる。コレルの村でティファに会うかなって思ったけど。買出しに行ってるとかで留守だった。
別に顔を合わせてもどうってことはないんだけどね、アタシはさ。――

 

 

「おじさん、……いないね」
「誰?」
「ギル交換おじさん」
「そう都合よくいるもんか」
「じゃあ、GPは?どうすればいいのさ?」
「えっと、ワンダースクエアでゲーセンキャチとか3Dバトラーだったかな。」
「それやるーー」
「おい、ユフィ」

 

そうだ、あそこはまるで何事もなかったかのような賑わいで、「星を救う戦い」は夢だったんじゃないかと思えるほどだった。時間を忘れさせてくれる、それがゴールドソーサーかもしれない。

 

「こんなにチマチマしないとGPになんないの?」
「しかたがない、そういうプログラムだ」
「ちぇっ」

 

とかいって熱中してたな、俺もだけど。 

「ギルならたっぷりあるのにね。」
「80GPこしてるじゃないか」
「2人でやったら早いんだ、きっと」
「これなら闘技場で8回バトルできるぞ」

 

それで……

 

「クラウドーー、ここで最後だろ…?何してんのさ」
背中を丸めて何やらノートに目を落としているのを見て、
「ひっ!」
言うが早いかクラウドからそれをひったくった。
「な、な、な、なにすんだよ、ヒトの日記読むな!!!」

 

明日は引越し、念願のチョコボファームが完成した。

ユフィに引きずられるように同行させられるクラウド。エアリスではなく、ティファでもなく、すきとかそんなんじゃなく成り行きで手伝う羽目に陥ってしまった。
がんばれクラウド!