Seventh Heaven

その4

夕方になると、村の連中が顔を出してくれる、元気良く働くティファ。マリンとの息もぴったりだ。なにしろ長い付き合いだから。

「あ、とうちゃん!!」
いつものようにバレットが帰ってきた。
「バレット、お疲れさま」
「おう!」

マリンを肩に乗せると、上の階に消えていった。

おかげでますます店は忙しくなる。
疲れて帰ったバレットに、ねぎらいの言葉をかけるだけではなく、あれもこれもしてあげたい、マリンのように飛びついてみたいものだ。
今のところのティファの願いだ。

 

 

 

 

 

夜が更けて、マリンを寝かしたバレットがカウンターに戻ってきた。
店はもう看板だ。
2人で過ごす、大切な時間。

「……だからね、もう笑っちゃったわよ」
「そうか、しょうがねぇおっさんだなー。掌打ラッシュでもかましてやりゃあ、目が覚めるぜ。いや、それだと永久におやすみだな」

笑顔が、いい。とてもいい。

立ち直るきっかけをつかみかけたティファを見て、とても満足だ。どこかふっきれたような、落ちついたような、安心したような…

「ティファも、こっちに来いよ」
「え?、うん、そうね、待ってね。お代わりと、それからっと」

氷とお水、それからおつまみにボトル。大した宴会になりそうだ。

「飲むわよ、何だか今日は嬉しいの」
「おいおい、オレは…」

知ってましたか、バレットは下戸なのです!
「付き合ってちょうだい!はいどうぞ」

それに、飲むと泣くのです!!

「はい、乾杯!」
グラスに口づけしたティファの愛らしいこと。えびす顔のティファ。
「こんなに美味しいのに、バレットったら人生を損してるのよね、ああもったいない」
「いいんだよ、酒ばかりが人生じゃねぇって」
この笑顔を、自分だけが見ていることのほうが贅沢さ。

「にしても、嬉しそうだな、」
「元気に、なったでしょ、」

うなずくバレット。

「……褒めてくれる?」
小首をかしげるところがとても好きだ。
「おう、偉いぞティファ」
「バレット、ひとつ、聞きたいんだけど」
「ん?」

大きく息を吸い込んだ。
「私を、……」
目を伏せて、また深く息を吸い込む。
そして顔を上げて笑顔で言った。
「お嫁さんにしてくれる?」

バレットは本当に嬉しかった。
同情でこの子を慰めなくてよかった。

オレの好きなティファは、元気でなくちゃいけねぇ。
感動で涙が出ても不思議はないのに、自然と笑顔になった。

「いいのか、オレで」
首を二度もたてに振った。
「金持ちにはしてやれねぇぞ」
「うん、うん!」
「当分、共稼ぎだぞ」
「なら、家事も分担よ!」
「へっ、オレのほうが上手くてもびっくりすんなよ」
「嬉しいわ、助かっちゃう…」
声が震えていた。
「バレット、ありがとう」

きれいな涙だった。

「ティファ…」
こぼれ出るその名前の心地よいこと、
胸の中でこだましていつまでも響いている。
もう一度言ってみた。
「ティファ、」
もう一度、
「ティファ、」
もう一度、もう一度……
美しく豊かな黒髪に頬を埋めた。オレはいつの間に…。
そうだったんだ、オレは…。

     

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