Seventh Heaven

その1

「バレット、もう寝た?」
ドアを少しだけ開けて声をかけた。
「なんだ、眠れねぇのか」
「…ううん、」

のそのそと、寝袋から出てきたバレットはギミックを外していて、見なれない感じだった。

「ごめん、起こしちゃった」
「全然、かまわねぇよ」
「今日は、その、ごめんね…」
「ティ〜ファ、」
「だって、」
「あれぐらい言っておかないと、収まらねぇんだよ、ここはさ」
「そんな、」
「七番街とはまた違うんだ、ここはオレの言うことを聞いてくれ」
「…わかった、でもバレット、本当に?」
言ってしまって、顔から火が出た。
「しっかりしろよ、ここでがんばるんだろう」

 

 

 

コレルに着いてすぐ、知った顔に囲まれた。

「誰かと思や、この前、機関車を寸止めしたおっさんじゃねえか!」
「おう、久しぶりだな。てめえらにおっさん呼ばわりされたかねぇ。 ちゃんと名前があるんだ、シドってんだ」

シドは「調査」と称して、村中を歩き回った。もう頭の中では、定期便を立てようと絵を描いていたのだ。『輸送船を出すとして、コレルでの協力者はどの男か』早くも渡りをつけていた。こういうことについて、シドは天才なのだ。

「厳しい冬が来るまでに、ざくざく石炭を掘ってもらわねぇと、せっかくオレ様がメテオをぶっ飛ばしたのに、凍えて死んじまうぜ!さあ、こんどはあんたらが星を救う番だ!じゃんじゃん掘ってくれ。人の住む所ならどこにでも、このオレ様がコレル特産の熱い思いを届けてやっからよ!! 魔晄エネルギーにおんぶにだっこの時代はもう終わりだぜ!!」

腐ってた男どもの目の色が変わるから不思議だ。

半ば呆れ顔で聞いていたバレットも、腕を組んでうなずいた。それを遠巻きに見ている何人かは、不満顔のままだった。やがて、荷下ろしを手伝う長い黒髪の女性がバレットと親しげに話すのに気がついた。

「見ろよ、バレットだぜ。英雄気取りでお国入りか?」
「それにきれーなおねぇちゃんも連れてるぜ」
「へへ、手土産にちげーねぇ」

近寄る連中は、ティファを舐めるようにじろじろと見ながらバレットに声をかけた。
「気が利くようになったじゃないか」
気にしない様子のティファをギミックアームでかばって、連中を睨みつけた。
「てめえら、ティファに手え出すんじゃねぇ、怪我するぞ!」
そんな忠告など無視して続けた。

「ティファって言うんだと」
「こっち向いてくれよ、ティファちゃん」
「おにいさんたちが可愛がってやるからよ〜」

思わずバレットは大声で怒鳴った。

「やめねぇか!!ヒトの女房に向かってなんてこといいやがる!!」

「おーーーーー」

一瞬、周辺がどよめいた。しばらくの静寂の後、抗議の声があちこちから沸きあがったのは当然といえば当然だった。

「なんでお前みたいなヤツに2人もヨメが当たるンだよ!!」
「1人ぐらい俺にもまわせ!」
憮然としたバレットの横顔と、騒然とした雰囲気に驚いて、ティファはたくましい二の腕越しに背伸びしながら言おうとした。

「皆さん、ちょっと…」
それをバレットは制した。
「ティファ、よせ。普通に話して通じるような連中じゃあねぇ」

 

 

 

「あのときは、ああでも言わねぇと。連中、何しだすかわかったもんじゃないから。ティファの気持ちも考えないで、悪かったな」
「バレット…」
「今は気持ちが高ぶってるんだ、新しい暮らしを始めようって、思いもよらねぇ力を使ってさ。ゆっくり落ちついて、自分の身の振り方を考えることだ」
「…………」
「先ずは寝る。さあ、」
「…あのね、バレット、話…聞いて欲しいんだけど」
「?ん、」
「その、」

言葉に詰っても静かに待つ。決して「どうした、早く」とは言わない。

「クラウドのこと、」
「辛そうな顔だな、無理に話さなくてもかまわねぇんだぞ」
「話したいの、あのね」
 

 

 

     

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