コレルへ


あつかましい「お別れの挨拶」をしてくれたバレットに、今回ばかりは本気でケリをつけてやろうかと、頭から湯気を出してシドが甲板から中央広間への階段をおりていた。
操縦室からは村が見下ろせた。

 シエラの馬鹿め、嬉しそうに見上げてんじゃねえよ。

 もっともこの船はオレ様のっていうよりは、おめえの船だったからなぁ。知らねぇやつもいるだろうから、オレ様が話してやろう。

 シエラはこの船の舵を取ってたことがあるんだ、驚いたか。

 簡単に話すとこうだ。
飛空艇の開発から設計、試作、テスト飛行ってえのがあんだろ、そのはじめの段階からシエラはスタッフだったんだ。その上、あいつはテストパイロットもやってたんだぜ。
ま、裏方ってぇのは名前が出ねぇからな。あいつがそんなところに係わってたかどうかなんて、オレ様がいちいち知るわけがねぇ。

 ロケット打ち上げパイロットとして村に入ったときによ、メカニックどもに飛空艇を自慢したんだ。するとその中にいた女のメカニックが根堀り葉堀り、船の様子を聞きやがる。

 何でぃこのメカニックはよ、そう思ったんだがな。

そのうち今までの最大船速はどれくらいかっていいだして、オレ様が胸を張って答えてやったら、こう言いやがった。

「おかしいわね、そんなはずないんだけど」

それだけ言うと船中ひっかき回してセッティングしなおしてた。それで初めてわかったんだ、シエラの素性がさ。

さあ飛ばしてみようってことになって、オレ様が船を発進させたんだ。
船速を徐々に上げて最大船速に持っていくと安定がまるで違うんだ、今までの巡航速度ぐれぇにしか思えねぇ。感心していると

「意外とゆっくり飛ばすんですね」

ときたもんだ。
なんだとこの女、オレ様を誰だと思ってるんだ!その上、いたずらっぽい目でこう言いいやがった。手を合わせて、口元に持っていって、だ。

「お願い、ちょっとだけいいかしら?」

いいも何も、シエラのやつ、オレ様から操縦桿を取り上げて、いとも簡単に船を操りだした。
今までの最大船速からまだ踏みこんだときは、久しぶりに興奮したな。あんな思いきりのいい加速は初めてだったぜ。

「プレジデントには過激だったのね。」

2人で大笑いしたんだ。だってそうだろう、速力が売りの飛空艇に年よりが乗るなってんだ! 

「設定がかなり下げられていたんです。あの設定で速力を上げれば安定も何もあったものではないもの。シドさんの腕でなければうまく飛べなかったに違いないわ。せっかくの飛空艇なのに…、そう思いません?」

おおそうだとも、
オレ様の腕が「ハイウィンド」を飛ばし続けてきたんだ。いいこと言ってくれるじゃないか。気に入ったぜ、シエラさんよ。

「交代します、シドさん」
「いや、かまわねぇ、あんたが作った船だ」
「ありがとう!」
オレ様はシエラの腕に興味を持って、そのまま着陸まで操縦を譲ったんだ。その時のうまかったこと、もぉびっくりしたぜ。世の中は広いもんだって、つくづく思い知らされたなぁ。

 ロケット発射のときはいろいろあったけど、その話はまた今度だ。それより気になることがあるんだ。

オペレーションルームであれこれと打ち合わせをしているバレットの他に、ふとのぞいたチョコぼうに人かげがあった。

 ティファだ。

白々しく、チョコボの世話をしている。
こりゃ、面白くなってきた。

    

 

 

面白くなってきたぜぃ!