ある晴れた午後に


珍しくゆっくりとした午後だった。

パイの焼きあがるいい香りが、ダイニングから裏庭にただよっていく。
紅茶にしましょう。何も予定の入らない午後なんて、久しぶりだから。そう、風もさわやかだし、外でいただきましょう。
お気に入りの白いティーカップを2つ、パイを切り分けてお皿に並べて…
ポットの中でリーフが優雅に踊るようです。

トレイを持って裏庭に出た。
「お茶にしませんか…」
何て静かなんでしょう
「あなた?…シド?」

タイニーブロンコの周りを歩いてみた

「あ!」
翼の向こうに寝そべっているシドを見つけた。気持ちよさそうにお昼寝中
そおっと近寄るとシエラも隣に座ってみた。
白いTシャツにストレートのジーンズ。何事もおこっていない証しのようで、このシンプルなスタイルがシエラはとてもすきだった。
ゴーグルは外したのか、左手に握っていた。靴まで脱いで裸足になっていた。そっと肩に手を置いてみた。

寝顔をしばらくながめた。

太い腕にそって手を滑らせて大きな手を取ってみた。どうして私はこの人がこんなに愛しいのだろう、傍にいるだけで胸が痛くなる。
うっとりみつめてしまうのはどうしてだろう。いてくれるだけでただ嬉しい。こんなにステキな人なのに、私みたいな何のとりえもない女が一緒にいていいのかしら。
ある日、うんと美しい人と、どこかにいなくなってしまうのではないかしら…不安になるときがある。

ねぇ、ホントに私でいいの?

本当に私はこの人を愛せているのか、シドに愛されるだけの女性に、なれているだろうか、いつも自問している。

それにしても、シドの寝顔。
頬に唇を寄せてみた。
かすかに反応を示した。
胸に手をおいた。
胸筋の厚みがシエラに悪戯心を起こさせる。
目を閉じて唇を重ねた。
「う、うぅん…」
青い瞳がうっすらと開いた。

もう1度キスした。
タバコの味がする
「あ…ん、……シエラ…」
むにゃむにゃといざり寄ってシエラのひざに顔をうずめた。背中にまで手を伸ばそうとしたが、顔を起こすのがいやで届かなかった。
髪をなぜられて満足そうにぼんやりと目をあけた。
「お茶にしませんか」
耳元に囁いた。
「…う、まだネムイ……」