帰還

 

胸を張って帰ってきた。
ロケット村だ。
見えてきた。
格納庫か、いいもんだぜ、帰る場所があるっていうのは。

手を振る人、人、人
村の連中の大歓迎

見当たらない。

ま〜たアイツはチンタラ何ぞやっているのかぁ?
今でなきゃなんねえ用なんぞ、もうなかろうに。

 どこだ?

「シド!ごくろうさん」
「艇長!うれしいっす、……シド!艇長!」
波が押し寄せるように連呼される、オレ様の名前。

 ちがう!

オレ様が聞きたいのは、今聞きたいのは
「シド……、ちょっと」
背中に水を浴びせられたようなイヤな感じだぜ
硬い表情を見れば、さすがのオレ様でも緊張するってもんだ。
上海亭のマスターと、ドクターだ。
「……シエラが、」
再会を喜ぶ人波を逃れて、オレたちはその部屋にはいった。

ドクターが話しかけてくる。

聞こえない

足が勝手に進む
口から心臓が飛び出しそうだ
手が自然に差し出された
いつどうやってグローブをはずしたか覚えていない

マスターが話している

まるでノイズのようだ

血圧が上がるのがわかった
心拍数がますます上昇する

声が出ない

「……死んでいるわけではないのだが」
ご丁寧にドクターが言う。

そっと頬に触れてみた。冷たい……
手をとってみた。何かを固く握っている
これは!オレが預けた……ぶるぶると震えてしまった。
ずっと持っていたのか。
「私たちが駆けつけたときにも、握り締めていたんですよ」

 

 

自分の目の前で何が起こっているのか、
あまり正確に理解できなかった。
シエラが冷たくなってベットに横たわっている。
目に映るのはそれだけだ。
それが何を意味するのか、今のオレにはわからなかった。

息をしているのかどうか知りたくて、顔を覗きこんでみた。
かすかだが鼻と口から空気の流れがあった。
唇を重ねてみた。

やっぱり冷てぇ。

うすい唇はほんの少しだけ開いている。
いつもそうだったな、おめぇの寝顔はよ。
抱き起こして胸に耳を当ててみた。

からだも冷てぇ。

けど、弱々しいが心臓の音が聞こえた。
少し痩せたみてぇだな。
最後におめぇに触れたのは……、おっと、秘密だ。
死んではいねぇみたいだ。
なら、望みを持ってもいいだろう。

「シド、その、何て言えばいいのか……」
シエラをベッドに寝かしなおして、オレ様はようやく口を聞くことができた。
「オレはこいつが目を覚ますまでここにいることに決めた」
2人はオレを気遣って、ただうなずくだけだ。
「…しかし、シド。あんたも疲れているんだ。」
「すまねぇ、でもよ、その、何だ」
あわてて2人に背中を向けた。男の友情たぁ有りがてぇ。
「わかった。時々、様子を見に来るから……」

久しぶりだな、シエラ。おめぇと2人きりはよ。

シエラ、帰ったぜぃ。

せっかくオレ様が守ってやったのに、早く目を覚ませ……