台風18号

 


「ねぇ、ちょっと、揺れがすんごくないかい?」

台風のふちを通れば当然なんだよ。

「あん?客船にしか乗ったことがねえのかぃ?」

ふん、かっこつけるんなら最後までふんばってみろ。
エレベーターの中とは勝手が違うだろうが!
あーあーだらしねぇ・・・

「俺は平気なんだよ、でもさ・・・」

ばさばさ髪伸ばして、みっともねぇヤロウだ。暑苦しいんだ、切れ!

「てめぇんとこの大将がわけのわかんねぇ作戦立てやがったんだ。文句があんなら大将に言え!これでもまだ押さえてるんだかんな。遅刻したら、そこの、そいつのせいだぞ」

そこの、そいつが恨めしげにつぶやいた。「くそ、ハイデッカーめ・・・」

それはオレ様の台詞だ、とるな。

顔面蒼白でも健気に任務遂行に燃えてまぁ・・・

「だが遅刻はまずい」

がんばれよ、ソルジャーさん!

「そうか、なら全速力だ」

嬉しそうにレバーをぐーーっと押しこんだ。激しい揺れが船を襲う。

「だーーっ、いいって、船がミシミシいってるじゃないか!!」

黒髪を振り乱して、この男も立っていられなくなった。

「うるせぇ!この船はオレ様がきっちり整備してるんでぃ。オレ様を信用できねぇんだったら、今すぐ下りろ!今なら特別にパラシュート貸してやるぜ!!」

「ぎゃ!ちょ、手ぇ離さないで!前向いてくれよ!!!」

わざと両手を腰にあてがって、もっと脅かしてやった。

「ちょっとやそっとで落ちるもんか、シロウトは黙ってろぃ!!」

タバコをおかわりして余裕の表情でふかした。

「ザックス、少し静かにしろ、たのむ・・・うっぷ」

英雄さん、形無しだな。

「おいこら、オレ様の船を汚すなよ、げーなら外でやれ外で」

2人はブリッジを追い出された。

 

 

「大丈夫か?あんたが乗り物酔いだなんて、知らなかった」

肩を貸すと、銀の雨がふりかかる。

「いや、体調が優れないだけだ。ここのところ、いやな夢をよく見る」

「ゆめ?」

初めて聞く、あんた前に『夢は見ない』って言ってたはずだ。

「知らない風景が出てくるが、すぐに粉々になる。それをどういうわけか並べて修復しようとするのだが・・・」

顔色が真っ青だった。

「ふうん、たんに疲れてるとか、考えすぎとか、」

「毎晩になると気持ちの悪いものだ」

「鎮静剤、効くかな?」

「気休めにはなる」

「もうすぐ到着だから、がんばれよ、な」

「あのパイロットの名前、知ってるか・・・」

「シド・ハイウィンド、だよ」

「覚えておこう、うぐっ・・・」

「おい、セフィロス!」

「ひとりに・・・して・・くれ・・」