危険な…

 

エレベータは次の階ですぐに止まった。

各駅停車かよ、
シドは点滅する表示を眺めた。

ドアが開くとばか長い刀を下げた、銀髪の男が乗りこんできた。
危険な色の瞳だった。
男の顔を眺めるシュミはないがガンを飛ばされてうつむくようなオレ様じゃあない。

「失礼、」
端正すぎる顔立ちの男は、シドの目の前にあるパネルに手を伸ばしてボタンを押した。

シドは腕を組んで壁にもたれてそれを見ていた。

銀髪の男はエレベーターの真中で仁王立ちのままだ。

かっこつけてるつもりだろうが、バカだな、あらぁ。

「バカとはなんだ…」

「あん、」

火をつけずにくわえていたタバコがおっこちた。

ひとりごと、か。

66階が表示されてエレベーターが停止した。
ドアが開くと、今度は黒髪がぼさぼさの男がお気楽な顔で立っていた。
この男もまた、危険な色の瞳をしていた。

「よっ、…!?」
黒髪の男は銀髪に親しげに話しかけようとして、乗り合わせがいることに驚いた様子だった。

シドはここでエレベーターを降りた。

これから退屈な会議だ。顔ぶれを聞いたときから爆睡を確信していた。
ちょっと寝不足だし、こんないい天気に会議とは。
今朝目が覚めたら、知らない部屋だった。
で、隣におねえちゃんがしどけない姿ですやすや眠ってた。
ああ、昨日はかなり盛り上がった宴会だった…
いつ引っ掛けたのか、覚えていない。
まあいい、もう会うこともないだろうから。
寝るなぁ、確実に……

 

 


「なあおい、さっきのやつ、」
「バカだと、言ってた」
「うそぉ、あんたと2人きりの、ここで!?」
「綺麗な色の瞳だったが」
「よっぽどの馬鹿か、…本物だな」

67階が表示されてドアが開いた。2人の大男もまたエレベーターを降りた。
 

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