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倉本聡脚本でテレビドラマ「歸國」をみる

  • 2010年8月15日 19:24
  • 日記

故・棟田博さんの短編小説『サイパンから来た列車』を基に、倉本が舞台脚本として書き上げたものを、テレビドラマ用に書き直した作品「歸國」をみた。

この時期は何でもよいので、先の戦争のことを考える機会になるのがいい。

南方で戦死した英霊たちが、昭和85年の8月15日、終電がいったあとの東京駅に軍用列車にて到着する。平和になった日本を未届けに来る。思いの残った場所や人をそっと訪ねて行く。

今までになかった切り口で、非常に興味深かった。

何より、病院のベッドで生命維持装置によりもう5年も生かされている、たった一人の妹と再会した上等兵の事柄が本当に生々しく、ひどく考えさせられた。

戦争や戦闘を怖がらせるだけの内容ではなく。時間の流れは明らかに繋がっていることを思い知らされて。戦後を憂い怒り嘆く、なんてしょぼいオチではないのがよかった。

時間の都合がつけばぜひ舞台を見に行きたいなと、思った。

 

 

上等兵の妹は浅草一番のダンサー。兄が出征した後男の子を産んで、一人で育て上げた。有名大学を卒業し官僚となった息子は、政財界に繋がりのある娘と結婚した。

日本の政治経済の中枢で重要な役を担う息子は、妻の実家方に沿い、やがて母親から離れてゆく。老人ホームに「放り込んで」めったに面会にもこない。入院してもたまにしか見舞いに来ない。毎月の費用はきちんと支払っているが。

兄の上等兵はこの事実を知り愕然とする。「妹の面倒は誰が見てるんだ?」「家族はどうして見舞いにこないんだ?」「これで生きていると言えるのか、誰がそうしようと決めたんだ?どうして死なせてやらないんだ?」

これが昭和85年の、事実。

高齢者が、一人暮らしを選択する。家族と離れて、余生を送る。

これが、昭和85年の、事実。

どうして一人で暮らすのだろう、子たちがいるのに。離れて暮らしていても、どうして会いに来ないのだろう?来てほしい?行きたい?来てほしくない?行きたくない??

どうして高齢者は一人暮らしではいけないのだろう?そうしたい年寄りもいる。

選べる豊かさは手にした。その裏の事実は、怖いから知りたくない。

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